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『サッド ヴァケイション』

『サッド ヴァケイション』_a0021956_2121555.jpg青山真治監督が故郷・北九州を舞台に描く母と息子の物語。
幼い頃に母に捨てられた青年・健次(浅野忠信)。運転代行の職についていた彼は、客としてやってきた間宮(中村賀葎雄)に出会う。間宮の経営する運送会社にはワケありの人々ばかりが働いていたが、驚くことに間宮の妻が自分を捨てた母親・千代子(石田えり)だと知り、健次は愕然とする。長年恨みを持っていた母親に復讐するため、彼は従業員として働き出すが…。

前回見た「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」が酷かったので、青山真治には苦手意識が芽生えつつあったのだけど、今回はとても面白かった。前半で登場人物がひと通り紹介される。一見、なんの繋がりもなさそうな人々。どんな物語が展開するのだろう?と不思議だったが、健次と母親の再会を境に緊迫感で目が離せなくなった。

浅野忠信の狂気をはらんだ静かな演技が素晴らしい。親を亡くした中国人少年の面倒を見るなど心優しい姿を見せる一方で、復讐の機会を虎視眈々と狙う。少しのスキも見逃さない残酷さ。しかし、それを上回る恐ろしさの母・石田えり。はじめは、あんなに色気のある母親なんてイメージじゃないなぁ~と思ったけど、千代子という母親の大胆さ、図太さを表現するにはこれぐらいインパクトのある人じゃなきゃダメだったのかも。何があっても動じず、うっすらと笑顔を浮かべるあの不敵な感じ。すごかったなぁ。彼女の前に、男たちはただ平伏すしかないのだった…。

公式サイト
『サッド ヴァケイション』_a0021956_21235271.jpg

「サッド ヴァケイション」 (07年)
監督・原作・脚本=青山真治 
出演=浅野忠信 石田えり 宮崎あおい 板谷由夏 オダギリジョー 中村嘉葎雄
by pandarin_0728 | 2008-05-07 21:27 | DVD・映画鑑賞記
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