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『グラン・トリノ』

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妻に先立たれ孤独に暮らす元軍人の老人ウォルト(クリント・イーストウッド)は、苦虫を噛み潰した表情を始終浮かべている偏屈爺さんだ。他人どころか自分の息子や孫すら毛嫌いしている彼だが、ひょんなことから東洋系の隣人一家、とりわけ娘と息子と交流を持つようになって…。

あらすじを読んだ時には老人と少年の異文化交流をメインにしたほのぼの系の物語なのかと思ったけど、そこはさすがイーストウッド。単なるほのぼのとはちょっと違う、何とも渋くて味わい深い作品だった。そしてどこか西部劇を思わせる物語…。不良たちに絡まれる姉弟を救い出すイーストウッド、見かけは白髪のお爺ちゃんだけど、その静かな凄みはタチの悪いチンピラも冷や汗モノだ。

予告編で告げられていた「衝撃のラスト」も途中から何となく予想は出来たものの、やはり心打たれずにいられなかったな…。軍人時代に行った自らの行為とその心の傷を抱え続けてきたウォルトが、ようやく罪を償い解き放たれた瞬間。磔になったキリストのように横たわる彼の姿が目に焼きついて離れない。

イーストウッドは本作で俳優業から引退するらしい。なるほど言われてみると最後の花道とも思えるような美しいエンディングだった。これまで演じてきた自らの役柄の集大成のような孤高のヒーロー。まさにいぶし銀という言葉がぴったり。

タイトルの「グラン・トリノ」とは主人公が大事にしているフォードのヴィンテージ・カーのこと。この72年製の車を磨いては眺めるのが日課の彼だが、普段乗っているのはごく普通の白いトラックのほう。ガレージに眠りっぱなしでなかなか陽の目を見ないグラン・トリノが、ラストでああいう形で颯爽と登場するのも感慨深かったな。あと、ウォルトと毎度憎まれ口を叩き合う床屋の主人役のハゲ俳優、よく見かける性格俳優なのに何に出てたか思い出せなかったが調べたら「ゾディアック」の犯人役の俳優だった。

どうでもいいけど、チンピラの胸元の漢字タトゥ「家庭」も気になった(笑)

公式サイト

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「グラン・トリノ」 Gran Torino (08年/アメリカ)
監督・出演=クリント・イーストウッド
出演=ヴィー・ヴァン アーニー・ハー クリストファー・カーリー ジョン・キャロル・リンチ
by pandarin_0728 | 2009-05-06 21:59 | DVD・映画鑑賞記
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