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『南極料理人』

平均気温マイナス54度、極寒の南極「ドームふじ基地」に派遣された8人の観測隊員たち。その内の1人、西村(堺雅人)の任務は隊員のために朝昼晩食事を作ることだった。実際に南極観測隊員として南極で調理を担当していた西村淳のエッセイ「面白南極料理人」を元にした作品。

南極観測隊に関するニュースは時々目にするけど、彼らがどんな人達でどんな食生活を送っているのかは考えたこともなかったな。8人の隊員たちは気象学者や大気学者をはじめ、自動車メーカーから派遣された車両担当者、通信社から派遣された通信担当者など、各分野のエキスパート。主人公の西村は料理担当だけど本職が料理人というわけではなく、海上保安庁から派遣された保安官というのも意外~。海上保安官ってそんな任務もあるのねぇ。

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さて、料理といってもここは南極。生き物はおろか、ウイルスさえも生存できないという極寒の地である。食料も冷凍食品・缶詰・乾物などの限られたものしかない。そんな状況で1年以上、1日3食の食事をやりくりしなきゃならないなんて並大抵の労力ではないだろう。

男所帯だから男の豪快料理みたいなのが多いのかな?と思いきや、西村が作り出すのは、フレンチのフルコースや豪華な中華料理などかなりの本格派!でも、いちばん心に残るのは仕事の合間に作ってもらった素朴なおにぎりや豚汁、ラーメンなんだよね。家族と遠く離れて、娯楽もない南極で過ごす隊員にとって、毎日の美味しい食事がどれほど楽しみだったことか。人間、やっぱり食べることが何よりも大事だよなぁ。食べなきゃ動けないし、何もやる気がおきないもの。ちなみに、劇中の料理を手がけるのは「かもめ食堂」などを担当したフードスタイリストさんだとか。なるほど、全編に漂うユル~い空気感は「かもめ食堂」と共通してるかも。

食生活以外にも、南極の暮らしぶりが覗けて楽しかったな。フツーにテレビが見れたり(ただし録画したビデオ)、国際電話で日本に通話が出来たり(1分740円!)、お風呂にはシャワーもついてたり…あら意外に快適?!おまけに腕の良い料理人までいるんだから。まぁ、各々に課せられた任務は大変に違いないだろうけどね。隊員が和気あいあいと楽しそうに暮らしているのを見ると、南極生活もまんざらでもないなぁ…って思えちゃうんだよね。そうそう、ウイルスがいないから風邪も引かないって言ってた!

南極という何もない氷の世界に、ひとつ屋根の下、8人の男がほぼ缶詰状態なわけだから物語は大して広がらない。(というか広がりようがない…) おまけにスローでユル~い演出なので、見る人によっては眠気に襲われる可能性も…。まぁ、そのユルさが売りなんだろうけど。なんたって主役の堺雅人の顔からしてユルんでるもんね。相変わらず「喜怒哀楽を全て笑顔で表現する」俳優である(笑) あたり一面銀世界の映像は、この暑い季節に見ればちょっとは涼しくなれるかも。


公式サイト

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「南極料理人」
監督・脚本=沖田修一 原作=西村淳
出演=堺雅人 生瀬勝久 きたろう 高良健吾 豊原功輔 西田尚美 宇梶剛士 嶋田久作
by pandarin_0728 | 2009-08-01 21:00 | DVD・映画鑑賞記
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