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最近読んだ本(2010年11月)

最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_2081966.jpg「ふがいない僕は空を見た」 窪美澄

5つの章からなる人間ドラマ。登場人物は共通しているけど、各章で語り手(主人公)が変わる。それぞれの章はそれほど長くはないが、人物や情景の描写が緻密でページ数以上の深みが感じられる。特に「セイタカアワダチソウの空」の章が素晴らしすぎる。この章は、冒頭の章で登場する男子高校生の同級生で、ただの脇役と思われた福田良太が主人公だ。15歳といえば、それだけで尊くてキラキラと眩しい年頃だというのに、彼の過去も現在もどん底だ。大人に助けを求めたいのに、必死に叫んだとしても誰の耳にも届かない。だから初めから叫ぶことすら諦めているような・・・そんな境遇の男の子。

小説を読んでこんなに胸が締め付けられたのは久々かも。なんだろう…この切なくて、苦しくて、泣き出したくなる感覚。この章だけを題材にもう1冊小説を書いてほしいくらい。もっともっと読んでいたいと思わせる本だった。なんとこれが著者のデビュー作らしい。なんだかこの人はいまにすごい作品を書いてくれそうな気がする。次回作が出たら、真っ先に買って読もう。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_208191.jpg「彼女がその名を知らない鳥たち」 沼田まほかる

読み終えて、夕飯の支度を始めてからも涙が出てきて困った。

恋人と別れた寂しさを埋めるように、冴えない年上の中年男・陣治とだらだらと同棲を続ける主人公・十和子。醜悪な陣治の全てを嫌い、蔑み、八つ当たりする十和子に対して、献身的とも思えるほど尽くす陣治。ある日、十和子が陣治とは正反対の水島という男と関係を持ってから、2人の生活は徐々に歯車が狂い始める。

十和子が陣治に見せる露骨な嫌悪は読んでいてこちらも気が滅入ってくる。それを承知しながらもなおも十和子に執着する陣治にも執念に近いものを感じてゾッとする。2人の異様な男女関係は一体どうしてなのだろうと思っていた。そして、十和子に愛人が出来たことから、2人の関係はさらに不穏な空気を帯びてくる。全ての秘密が明らかにされるクライマックス。陣治のこれまでの不審な行動のワケが、明かされた事実と繋がって、そのあまりに深い愛に驚愕する。ラストの陣治の行動には・・・。しばらく放心状態。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_208745.jpg「『怖い絵』で人間を読む」 中野京子

風景画にしても肖像画にしても、絵画の時代背景や登場人物を詳しく知ることで、絵画鑑賞がこんなにも楽しくなるとは。平易な解説がありがたい。1枚の絵にドラマがいっぱい詰まってるんですね。これまで美術館などに行っても、大雑把に鑑賞して単純な感想しか持たなかったことを反省。というか、もったい。絵にまつわるエピソードを事前に知っているのと知らないのではホントに大違いなんだなぁ。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_20875.jpg「正式名称大百科」

タイトルそのまんま。身近なのに名前を知らないモノって結構あるな。思わずメモっておきたくなる。ゲジゲジの正式名称は「ゲジ目ゲジ科ゲジ」だとか・・・。
他にも、お寿司によく入っている緑の葉っぱみたいな仕切りは「バラン」。パンの袋を閉じる水色のプラスチックは「バッグ・クロージャー」。弁当に入ってる魚の形をした醤油入れは「ランチャーム」。床屋の店先でぐるぐる回っている赤青白の看板は「有平棒(あるへいぼう)」。視力検査の「C」はランドルト環。膝の後ろの窪みは「ひかがみ」。ラーメンの湯切りざるは「てぼ」などなど。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_2082135.jpg「日本映画 空振り大三振」

「映画秘宝」に連載された記事をまとめたものらしい。2009年に公開された日本映画46本がとことんこき下ろされてます。メジャーな作品からちょっとマイナーな作品まで。何が一番ビックリって、取り上げられている46作品中、自分が見たことのある作品が1本も無いことだ。もう少し映画を見なくては・・・。でも、この批評を読むとどれも「見なくて良かった~」と思ってしまう。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_208654.jpg「成功するキャラクターデザインの法則」

やっぱり「ひこにゃん」の可愛さは頭ひとつ抜けているような気がする。「くまのがっこう」ってそんなに人気なのかー。ここには載っていないけど、個人的に気になるゆるキャラは先日の四国旅行で見つけた愛媛・今治市のご当地キャラ「バリィさん」、あとは千葉・君津市の「きみぴょん」かな・・・。
そういえば、東京駅地下街に「キャラクターストリート」というキャラグッズ店が集う商店街があるけれど、そのなかのリラックマグッズの専門店に集う客層にビックリ。お客でごった返す店内、なんとその半数は男性ではありませんか。しかも年齢層も大学生風の若者から中年サラリーマンまで幅広い。リラックマって男性に人気なのでしょうか?他のキャラグッズ店には見られない現象でした。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_20889.jpg「いざ志願!おひとりさま自衛隊」 岡田真理

なぜか萌え系な表紙。
【予備自衛官とは】・・・普段は社会人や学生としてそれぞれの職業に従事しながら、一方では自衛官として必要とされる練度を維持するために訓練に応じるものです。そして、予備自衛官と即応予備自衛官は、防衛招集や災害招集などに応じて出頭し、自衛官として活動します。(防衛省HPより)
要するに、有事の時に駆りだされる自衛官のこと。なんか普段はサラリーマンなのに、ピンチの時に正義のヒーローに変身する「スーパーマン」みたいだなぁ。「予備自衛官」なるものがあったことを初めて知った私だけど、本作はその程度の関心しか持ってなかったフツーの女性(著者)がひょんなことから予備自衛官を目指してみるという、いわゆる潜入ルポ。表紙の通り、軽~い文体でレポされていて、未知の世界だった(とは言い過ぎか?)自衛隊の裏側が垣間見れる。
「予備」と付いていても入るためにはちゃんと試験もあるし、軍事訓練だって男性でも途中脱落者が出るほどにハード。実弾の射撃訓練もある。どう考えても普通以上の体力でないとついて行けなそう。


最近読んだ本(2010年11月)_a0021956_208685.jpg「となりのモテは蜜の味」 ばばかよ

幻冬舎HP上で連載されていたエッセイとのこと。女子のモテについて分析。一部の書きおろしを除いては今もHP上に残っているのでそこで読めば十分かも・・・。HPの方がイラストも沢山載ってるし。
モテチャンネル
by pandarin_0728 | 2010-12-02 20:09 | 読書
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