人気ブログランキング |
<< 『ディスタービア』 『パンズ・ラビリンス』 >>

『夕凪の街 桜の国』

a0021956_2162393.jpgこうの史代の同名漫画の映画化。原爆投下から13年後と現代、異なる時代に生きる2人の若い女性の姿を通して、戦争と原爆の遺した深い傷跡を映し出す。

昭和33年、原爆の傷跡が生々しく残る広島で、その後遺症で無念にも亡くなった26歳の皆実(麻生久美子)と、その50年後の平成19年、彼女の姪にあたる28歳の七波(田中麗奈)の物語。「夕凪の街」と「桜の国」の二部構成になっている。

皆実は生き残ったことに負い目を感じながら13年間を生きてきた。何か楽しいことがあると、それを遮るように聞こえてくる妹の声。被爆した妹は皆実の背中に負ぶわれたまま息絶えた。以来、彼女は妹の苦しみの声が忘れられない。そして被爆から13年、それまで健康だった皆実の命は突然に奪われてしまうのだった。原爆による心と体の傷…その恐ろしさを改めて感じさせられる前編。

現代のパートでは、皆実の弟の娘・七波が主役。皆実の弟、つまり七波の父(堺正章)は疎開していたため被爆は免れたが、母は被爆者であり、七波は被爆2世だった。彼女は28歳の夏に広島を訪れたことで、これまで深くは考えなかった自分のルーツを見つめなおす。

50年前の皆実を演じる麻生久美子のはかなげな美しさ、現代の七波を演じる田中麗奈の快活さが印象に残る佳作。悲しみの連鎖を断ち切ることは容易ではないけれど、戦後63年、今いちど戦争について深く考えさせられる作品だった。

公式サイト
a0021956_2111449.jpg

「夕凪の街 桜の国」 (07年)
監督・脚本=佐々部清 原作=こうの史代 
出演=田中麗奈 麻生久美子 藤村志保 伊崎充則 堺正章 吉沢悠 中越典子
by pandarin_0728 | 2008-05-29 21:11 | DVD・映画鑑賞記
<< 『ディスタービア』 『パンズ・ラビリンス』 >>