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『ヴィーナス』

a0021956_2291333.jpg70歳を過ぎた俳優のモーリス(ピーター・オトゥール)は、端役の仕事を細々とこなしながら余生を送っていた。ある日、親友イアンの姪の娘ジェシーが現れ、久々にときめきを覚える。

老人が若い娘に見せる最後の執念。生(性)への渇望。若くて美しいものに惹かれるというのは当然だろうが、あそこまで露骨に性的な目で孫ほどに若い娘を見る老人というのはとても衝撃的だ…。うなじの匂いを嗅がせろだの、キスさせろだの、いくつになっても男の人って…ああ憐れ。しかし、老いは全ての生きとし生けるものに平等に訪れる。健康的なお色気を振りまくジェシー(ヴィーナス)と、病気で日に日に体力が弱っていくモーリスの姿が対照的に映る。

ピーター・オトゥールは痩せ型で皺っぽいせいだろうか。もう何年も昔から実年齢以上に老けた風貌になってしまったが、劇中でも俳優という自身を重ね合わせるかのようなキャラクターを演じていて、それゆえ妙にリアルで生々しい。コメディ調のシーンも多いが、どことなく切ないのはモーリスの最期が刻一刻と近付いているからだろうか。海辺で絶命するラストシーンはなんとも寂しげだが、人生の終わりに大好きな娘とつかの間の恋人同士を演じることが出来た彼は幸福に違いない。

公式サイト
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「ヴィーナス」 Venus (06年/イギリス)
監督=ロジャー・ミッチェル
出演=ピーター・オトゥール ジョディ・ウィテカー レスリー・フィリップス ヴァネッサ・レッドグレーブ
by pandarin_0728 | 2008-06-11 22:13 | DVD・映画鑑賞記
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