人気ブログランキング |

<   2009年 02月 ( 5 )   > この月の画像一覧

『フィッシュストーリー』

a0021956_1514982.jpg1975年、早すぎたパンクバンド「逆鱗」が最後に録音した曲「FISH STORY」。その間奏部分には1分間に及ぶ無音の部分があった。1982年、カーステレオから流れる「FISH STORY」を聴いた大学生(濱田岳)は、間奏部分に女性の叫び声を聞く。さらに時は流れて2009年、女子高生(多部未華子)が乗ったフェリーがシージャックされるが、フェリーのコック(森山未來)は果敢にも犯人に立ち向かう。そして2012年、彗星の衝突による人類滅亡まで残りあと5時間に迫っていた。

ある曲を発端に巻き起こった奇跡が地球滅亡の危機を救う奇想天外なストーリー。
「アヒルと鴨のコインロッカー」のタッグ再び!原作・伊坂幸太郎と中村義洋監督による最新作。これは期待せずにはいられない。しかし、あらすじを読んだところで全くワケの分からない内容…。実際、映画が始まっても何だかワケが分からない。一切関係なさそうな登場人物たちがそれぞれ違うエピソードに現れる。ところがラスト…意外な繋がりが明らかに!正直いってそれぞれのエピソードはそんなに面白いとは思わなかったけど、1つのパンクロックが発端であんなことになるとはね。
「FISH STORY」(ほら話)というだけに、その大風呂敷の広げっぷりがお見事!

「百万円と苦虫女」にも出ていた森山未來が今回もなかなかの好演。イケメン…とは言い難いが、何だろうあの切れのある身のこなし。バレエの心得がある人は足さばきが綺麗だ。

それと「アヒルと鴨~」でも思ったけれど、伊坂作品の映画化を見ると「このシーンは本ではどう表現したのかしら?」と思わされるシーンが多い。「今のシーンって映像でしか表現できないんじゃないの?」みたいな。私が一度も原作を読んだことがないせいもあるけど。何と言うか、ものすごく映画向きの本を書く人なのかもしれない。伊坂作品が次々映画化されるのはそういうことかな、と思った。

公式サイト

a0021956_1511055.jpg


「フィッシュストーリー」 (08年)
監督=中村義洋 原作=伊坂幸太郎 
出演=大森南朋 多部未華子 森山未來 伊藤淳史 濱田岳 石丸謙二郎 高良健吾 山中崇 
by pandarin_0728 | 2009-02-21 15:15 | DVD・映画鑑賞記

『純喫茶磯辺』

a0021956_20351489.jpg高校生の咲子(仲里依紗)は父親(宮迫博之)と2人暮らし。ある日、祖父が亡くなりその遺産が入った父は突如として喫茶店を開業する。咲子は父の突飛な行動に困惑させられながらも、喫茶店の手伝いをすることに。有頂天の父はアルバイトとして雇った美人の素子(麻生久美子)に恋心を抱くが…。

女好きでイイ加減な父を冷めた目で見ながら、実は心配でたまらないシッカリ者の娘。だらしのない、しかしユニークで憎めない大人たちに揉まれて、ほんのちょっぴり人生というものを学ぶ少女の成長物語である。テキトーな父(宮迫)と、ぶーたれた娘(仲)との掛け合いがコミカルで面白い。「ちーちゃんは悠久の向こう」ではぶりっこ演技が若干鼻についた彼女だけど、今回はすごくイイ。ダメ父親に放つ冷ややかなセリフと表情がいちいち面白いのだ。

それから、麻生久美子にあのコスチュームを着せた監督の功績は大きいね(笑) 喫茶店の客として登場するメンツ(斉藤洋介、ミッキー・カーチスなど)もセリフは少ないけど、みんな一癖あって怪しくて最高。なにより「純喫茶磯辺」というレトロ(?)なネーミングセンスから察するように、店の内装が21世紀とは思えぬダサ懐かしさでいっぱいだった。70年代風の壁紙に豹柄のカウンター、ミラーボールにインベーダーゲーム、柱にはツタの葉っぱが絡まり、レジの台にはチンチラの毛皮。壁にはなぜかアイドル時代の工藤静香のポスターが…。父デザイン(?)の開店記念オリジナル携帯ストラップもダサかったなぁ。散々けなしたストラップを、憧れの男性客が付けていると知ってこっそり入手するヒロインの乙女ゴコロ、なんか分かるわぁ~。

公式サイト

a0021956_20345742.jpg


「純喫茶磯辺」 (08年)
監督・脚本・編集=吉田啓輔 
出演=宮迫博之 仲里依紗 麻生久美子 濱田マリ 近藤春菜 ダンカン 和田聰宏 
by pandarin_0728 | 2009-02-18 20:42 | DVD・映画鑑賞記

『死にぞこないの青』

a0021956_21312118.jpg小学6年生のマサオ(須賀健太)は些細な事がきっかけで新任の男性教師・羽田(城田優)からイジメを受け始める。やがてそれはクラス中に広がり、マサオは孤立していく。そんな彼の前に、ある日、全身傷だらけの不気味な少女・アオ(谷村美月)が現れる。マサオの目にしか見えない彼女はイジメに泣き寝入りする彼に教師への復讐を指示する。

原作は乙一。乙一といえば、「きみにしか聞こえない」の映画化は個人的にイマイチだったが、「暗いところで待ち合わせ」(田中麗奈主演)はかなり面白かった!ということで今回も期待大。

小学生が主役なのでジュブナイルっぽいのかな?と思ったが、とんでもなくダークな物語でビックリ!小学生は見てはいけない。それでもラストは無理矢理(?)感動に結び付けるあたりは、乙一らしいと言えばらしいが…。とにかく、マサオをいじめる教師の陰湿ぶりが異常だ。見るからに意地の悪そうな教師ならまだしも、表向きは清潔で善良ぶっている教師だからタチが悪い。やたら彫りの深い顔の城田優が演じると恐ろしさ倍増で…。

演技と分かっていても、子供が大人に一方的に迫害されるシーンは気分が良いものではないなぁ。執拗な描写にいよいよ気分が滅入ってきたところで、マサオの前に謎の少女アオが出現。腕を縛られた拘束服姿、口の裂けた真っ青の顔。もろに特殊メイクだけど、初めて登場するシーンは結構ビビッたよ…。

人間の心に天使と悪魔が棲むならば、アオはマサオの悪魔の心が具現化したもの。「先生を殺せ」というアオの言葉にそそのかされたマサオは決行を決意するが…。最後の最後に教師がマサオをいじめていた理由が分かるんだけど、どうもイマイチ説得力が足りないなぁ。まぁ復讐を描くのではなくて、いじめられたらやられっぱなしじゃダメ、勇気を持て!というメッセージは感じられたけど…。

a0021956_2131072.jpg


「死にぞこないの青」 (08年)
監督=安達正軌
出演=須賀健太 谷村美月 城田優 坂井真紀 入山法子 博多華丸
by pandarin_0728 | 2009-02-14 21:35 | DVD・映画鑑賞記

『百万円と苦虫女』

a0021956_21173655.jpg21歳の鈴子(蒼井優)は百万円を貯めては仕事と住む所を転々としながら根無し草の生活をしている。人付き合いが苦手な彼女が、様々な人との出会いや恋を通して自分自身を見つめ直していく姿を描く。

拘置所を出所する蒼井優…だなんて冒頭から意表を突かれたー(笑) 「女の子版寅さん」みたいなストーリーとも聞いていたけど、町から町へとあてもなく旅を続けるところは確かに寅さんだよね。でも、アグレッシブで破天荒な寅さんと違って、苦虫女・鈴子は周りの人に流されながら成り行き任せに日々を過ごしていく。

監督は「赤い文化住宅の初子」のタナダユキ。ありがちな脱力系コメディとか女の子映画にしていないのはさすが!という感じ。鈴子の流れ者生活は見ているこちらも心細くなるほど先の見えないものだったし、友達がいない彼女には始めから終わりまで孤独感が付きまとっていた。“前科者”という設定はイマイチしっくり来なかったけど、そのことがさらに鈴子の負い目になっていたのは確か。その一方で、100万円片手に町から町へと放浪ライフってのも若さゆえの特権で、その身軽さがうらやましく見えたりして。演じる蒼井優が醸し出す空気感も物語にピッタリ。幸薄さと芯の強さのバランス具合も絶妙だった。

一見不幸せに見えて、旅先での鈴子は意外とラッキーで周りの人に恵まれていたなぁとも思う。百万円貯まるのが早すぎるよ~なんてツッコミどころもあるけど、そこまでリアリティを求める映画でもないしね。桃農家のお婆さん(佐々木すみ江)&息子とのやり取りはほのぼの。素朴な独身息子・ピエール瀧(あの腹!)がイイ味出してたな~。別れ際、鈴子に桃をくれる優しさにちょっとウルッと来てしまった。

最後にたどり着いた町で鈴子は苦い経験もした。中島くん(森山未來)とのぎこちない恋はこちらにまでドキドキが伝わってきたなぁ。ホロ苦くも爽やかなラストにも大満足。タナダ監督の次回作にも期待!

公式サイト

a0021956_2117516.jpg


「百万円と苦虫女」 (08年)
監督・脚本=タナダユキ
出演=蒼井優 森山未來 ピエール瀧 笹野高史 佐々木すみ江 竹財輝之助
by pandarin_0728 | 2009-02-08 21:30 | DVD・映画鑑賞記

『歩いても 歩いても』

a0021956_21451975.jpg法事に集まった平凡な家族のありふれた夏の一日を描いた作品。

まさにあらすじは上の一文だけ、とてもシンプルな物語。どこにでもある日常を切り取っただけなのに、思いもよらず充実した2時間を過ごせた。舞台は現代ながら、どこか古き良き日本映画を思わせる。♪歩いても~ 歩いても~ 小船のよう~に~。「ブルーライト・ヨコハマ」かー。

登場人物や舞台設定に小津安二郎の影響も伺わせるが、是枝監督は成瀬巳喜男が好きで、本作の撮影前にも成瀬作品を見直したらしい。小津より成瀬派の私としてはそれを聞いてちょっと嬉しかったりして。いつも明るい母(樹木希林)が見せる「毒」は、たしかに成瀬寄りの陰の描写かな。和やかな会話の中で、ふと垣間見る怨念に思わず戦慄させられる瞬間も…。綺麗事だけじゃない、色んな思惑が渦巻くのが家族なのだ。頑固者の父(原田芳雄)が放つあるセリフにドキッ。どこかで聞き覚えがあると思ったら、うちの父もよく言っていたセリフだったのだ。

舞台となった坂の多い海辺の町(三浦海岸)や、昔ながらの木造家屋も懐かしさにあふれている。台所でリズムよく野菜を刻む、ザルでザッザッと水を切る…どれも日常的な光景なのに、その手際の良さに見惚れ、音に聞き入ってしまう。真冬に鑑賞したら、夏の空気が恋しくなった。

公式サイト

a0021956_21445938.jpg


「歩いても 歩いても」 (07年)
監督・脚本=是枝裕和
出演=阿部寛 夏川結衣 樹木希林 原田芳雄 YOU 高橋和也 田中祥平
by pandarin_0728 | 2009-02-02 21:51 | DVD・映画鑑賞記