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『ジュリエットからの手紙』

『ジュリエットからの手紙』_a0021956_11224011.jpgタイトルのジュリエットって、「ロミオとジュリエット」のジュリエットだったのね。

イタリア・ヴェローナにあり、観光名所となっているジュリエットの生家。その壁一面には、恋に悩む女性たちからジュリエット宛の手紙が今でも貼られ続けている。その手紙はどうなるかというと、「ジュリエットの秘書」なる人たちが、1通1通目を通して返信してくれるんだとか。映画のための設定だと思ったら、なんとびっくり実際に存在するそうで、「ジュリエットクラブ」というボランティアの女性たちが世界中から届く手紙やメールに返答しているそうだ。なんと日本語でもOKらしい。

そんなエピソードを物語のモチーフとしているのが本作。
ヒロイン(アマンダ・セイフライド)がジュリエットの生家で見つけた50年前の古い手紙。差出人である英国人女性(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)と共に、50年前に別れた初恋の相手を探すためトスカーナ地方を巡る旅に出るというストーリー。美しいイタリアの田園を背景にしたロードムービーで、物語も定番中の定番なラブストーリーだった。

ガエル・ガルシア・ベルナルがヒロインのフィアンセ役。シェフの彼は、近々オープンする自分の店の準備に気を取られ、2人の間には微妙な距離感が。今回のガエルはとにかく終始喋りまくっているお喋り男で、やかましいったらありゃしない。なんだかジローラモを彷彿とさせます(笑)

そんな矢先に、ヴァネッサ・レッドグレイヴと共に初恋相手を探す旅に同行することになったヒロインは、ヴァネッサの孫で、同じく旅に同行する青年(クリストファー・イーガン。微妙にライアン・フィリップ似)とのあいだに新しいロマンスが生まれる・・・というお約束な流れに。まぁ、物足りないといえば物足りなくもないが・・・。ハッピーエンドだし、イタリアの風景も美しいので、鑑賞後の後味はイイです。

婚約までしていた恋人ガエルくんとの別れがあっさりしすぎでそりゃないよーって感じだけど、ガエルもガエルで去る者追わずであっさりだったな(笑)

『ジュリエットからの手紙』_a0021956_1122415.jpg


公式サイト

「ジュリエットからの手紙」 Letters to Juliet (10年/アメリカ)
監督=ゲイリー・ウィニック
出演=アマンダ・セイフライド ヴァネッサ・レッドグレイヴ クリストファー・イーガン ガエル・ガルシア・ベルナル フランコ・ネロ
# by pandarin_0728 | 2011-05-25 11:37 | DVD・映画鑑賞記

『ブラック・スワン』

あー疲れた。久々にこんな張り詰めた映画を見た(笑)
ナタリー・ポートマンの不安な顔のどアップと大音響で響く白鳥の湖の音楽が、観終わってしばらくは余韻として残る・・・。

『ブラック・スワン』_a0021956_12233788.jpg


「白鳥の湖」の主役に抜擢されたバレリーナ(ナタリー)。大役への緊張、ライバルの出現、母親からの呪縛など、精神的な圧力を受けてだんだん不安定になっていき、やがて幻覚まで見るように・・・。
芸術家というのは繊細だからこそ皆を感動させるものを生み出せるのだろうけど、繊細ゆえに壊れやすいというか、一歩間違えると狂気と紙一重の部分もあるかもしれない。登場から不安げなヒロインが、本番が近づくにつれてどんどん狂っていく様子がホラー映画なみに怖い。精神的な怖さはもちろんのこと、思わず顔を背けたくなるような痛そうな描写なんかも出てきたりして、観ているこちらまで思わず「ウィィィ~」って声が出そうに・・・(笑) ささくれのシーン、あれヤバい。

アカデミー賞の授賞式では妊娠中でふっくらしていたナタリーだけど、劇中ではバレリーナ役ということもあり、折れそうなくらい細い。もともと痩せてるのに、さらに9キロ減量したとか。主演女優賞をとっただけに、ナタリーのための映画という感じで、最初から最後まで彼女が出ずっぱり。しかも登場シーン全て張り詰めた表情という、演技とはいえホントに滅入ってしまうのでは?と心配になるほど。でも、バレエシーンも含めてとにかくとっても美しかった。クライマックスの、ホワイトスワンからブラックスワンへの豹変もお見事。

全盛期を過ぎて今は日陰の存在の先輩バレリーナ役でウィノナ・ライダーが出ていた。すっかり退廃してしまった元花形プリマの姿がなんだか現実の彼女と重なって切ない気分になったりして・・・。

公式サイト

「ブラック・スワン」 Black Swan (10年/アメリカ)
監督=ダーレン・アロノフスキー
出演=ナタリー・ポートマン ヴァンサン・カッセル ミラ・クニス バーバラ・ハーシー ウィノナ・ライダー
# by pandarin_0728 | 2011-05-12 12:34 | DVD・映画鑑賞記

最近読んだ本(2011年4月)

胃の不調からくる背中痛と肩痛と腰痛でご飯も受け付けなくなり、我慢できず病院へ行ってきた。
6年前、胃カメラ飲んだ時と同じ薬を出してもらって、少しずつ回復中・・・
ところで、胃薬の最終兵器こと(?)タケプロン。6年前はかなりでっかいカプセルで、カプセル苦手な私には飲み込むのにひと苦労だったのに、今はラムネみたいに舌で溶かして服用するタイプの錠剤に進化を遂げていた!しかもイチゴ味で美味しいという・・・。


そんな調子なので、月末は本があまり読めなかった。


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152414.jpg最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152760.jpg「ポリティコン」 桐野夏生

桐野夏生の新刊。上下巻の大作で、文藝春秋の特設サイトも気合十分。

山形県にある架空の村「唯腕(いわん)村」。いわゆるコミューンと呼ばれる自給自足の共同体が舞台。相変わらず濃厚な桐野ワールドが繰り広げられ、読み応えたっぷり!理想郷とは名ばかりの村の実態、村人たちそれぞれの複雑な人間模様。その中の若い男女の10年に渡る物語が中心になるのだが、とりわけ上巻で描かれる青年・東一(トイチ)のキャラクターが強烈。人間の醜い部分を寄せ集めたような男で、強欲で傲慢でおまけに女好き。とはいえ完全な悪人とも言い切れない部分もあって、嫌悪感は感じるものの憎めないというか。まぁ、今回の登場人物は誰もがどす黒いものを持っているけども。上巻、孤独な彼の悪あがきはみっともないを通り越して哀れなほどだった。下巻は、東一が恋焦がれる新しい村人・マヤの目線から描かれる。これまで謎めいていた彼女の内面が明らかにされるので、下巻の方が上巻以上に引き込まれて読んでしまった。


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152628.jpg「きことわ」 朝吹真理子

今年の芥川賞受賞作品。25年ぶりに再開した貴子(きこ)と永遠子(とわこ)の物語。
少女時代と大人の女性になった今、2つの時がゆらゆらと行ったり来たりしながら綴られていく。読み終わって、「あぁ純文学だなぁ」と色んな意味でため息・・・。特にこれといった出来事は起こらず淡々と進んでいったり、いかにも文学的な美しい表現が使われていたり、ふだん大衆小説やミステリ小説に慣れているせいか、多少のこそばゆさも感じつつ、少女時代のノスタルジックな情景描写はとても美しかったし、全体に漂う現実離れした透明感みたいなものは、それはそれで魅力的ではあった。


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152788.jpg「鬼」 今邑彩

ちょっとゾクッとする物語を集めた短編集。
日常に潜んでいそうな不気味な物語から、ホラーっぽい味付けの物語まで全10編が収録されており、ちょっとしたオムニバスドラマを見ている感覚。どれも30~40ページ前後なのでテンポよく読める。全体的な感想は面白かったと言えるんだけど、じゃあどれが一番良かったか?と聞かれると、どれも微妙に思えてくるのはなぜだろう(笑)


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152898.jpg「再会」 横関大

江戸川乱歩賞受賞作。とある郊外で起きた殺人事件。凶器となったのは、この町で育った幼なじみ4人が23年前に小学校の校庭に埋めた拳銃だった。

封印されたはずの事件が、23年の年月を経て当事者たちすら知り得なかった真相と共に明らかになるミステリー。登場人物がわりと限られているし、文章も易しいのでサクサク読める。その分、アッと驚くような仕掛けも印象に残るエピソードもないけど。あと、ちょっと偶然に頼りすぎな気も。よく出来た2時間ドラマを見ているような感じ。


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152511.jpg「KAGEROU」 斉藤智裕

去年、話題になった水嶋ヒロの著作。図書館で予約しておいたら、すっかり忘れた頃にようやくまわってきた。なんだこの乗り遅れた感。
さて、酷評が目立つ本作ですが、それも納得って感じかな。字も大きくて詰まってないので1~2時間で読めるんだが、なんか妙に疲れたというか。つまらない映画をじっと我慢して見続けた後の疲労感みたいな。ストーリーもどっかで聞いたことがあるような、なんだか既視感があるというか。何度となく出てくる気障な比喩表現がどうにもこうにも薄ら寒い。主人公が40歳のリストラサラリーマンなのに、そのまま中学生男子と言われてもおかしくないくらい未熟なキャラクターなのもちょっとね。


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152555.jpg「アマゾン・ドット・コムの光と影」 

アマゾンの物流センターにバイトとして6ヶ月間潜入した著者によるルポ。普段気軽にアマゾンで買い物しているだけに興味深い。アマゾンがマスコミに対して、これだけ徹底した秘密主義をとっているとは知らなかった。なんといっても印象的なのは物流センターでの労働の実態。ハイテクなIT企業の裏で、物流に関わる人々のアナログな作業。そこはまさに日の当たらない場所・・・。かっちりと梱包され、ものの1~2日程度で届けられるアマゾンの商品を見て、機械か何かでいとも簡単に発送作業をしているものだと錯覚していた。購入者がクリック一つで注文するのと同じようにはいかないのが現実だ。ちなみについ最近、同じ著者でユニ○ロに関する本も最近出たらしい。ちょっと気になる。


最近読んだ本(2011年4月)_a0021956_21152420.jpg「秋葉原事件 加藤智大の軌跡」 

タイトルの通り、加藤の生い立ちから事件を起こすまでの軌跡を辿ったもので、その深層心理を追うというよりは、これまで裁判で出てきた事柄を時系列で淡々と綴ったような感じ。産経の法廷ライブと合わせて読むと良いかも。リアル社会とネット社会の住み分け。リアルではそれなりに仲の良い友人(それも複数)がいたにも関わらず、加藤はネット社会の人間に救いを求めた。もし依存度の高さが逆であったなら・・・事件を食い止めることが出来たのではないかと思わずにいられない。
# by pandarin_0728 | 2011-04-27 21:28 | 読書

『ガリバー旅行記』

日本でも馴染み深い「ガリバー旅行記」に現代風アレンジを加えた娯楽作品。
ガリバー役にジャック・ブラックとくれば、もちろんドタバタ喜劇!相変わらずだらしのない体付きながら、動きはホントに素早いジャックです!今回はいつも以上に裸の場面も多くて…。揺れる乳!波打つ腹!!(笑) そして、嬉しいことに今回もノリノリの歌声が聴けます。

ストーリーについては、大人から子供まで幅広く親しまれてきた古典だけに単純で分かりやすい。裏をかえせばありがちな展開ともいえるので、主演のジャックが好きじゃないとちょっと厳しいかもしれない。一応ファミリー映画のため、これまでの彼の出演作と比べて毒気も控えめ。ゆえに、きわどいジャックを期待すると微妙かも。というか、半裸のジャックだけで既に十分きわどい気もするが・・・(笑) ヒーローらしからぬルックスの彼だからこそ笑える演出も多かった。ガリバーが小人たちによって地面に縛り付けられるお約束のシーンも、でっぷりしたジャックが仰向けに横たわっているからこそ余計におかしいのだ。原作にもあった○○ッ○で火事を消すシーンなんかは子供が大喜びしそう。

小人の国で英雄となったジャックが、中世の街並みをNY・タイムズスクエアに変身させたり、自分が慣れ親しんだポップカルチャーを持ち込んでいくあたりはアメリカ映画ならでは。小人たちの考え方や服装もジャックの影響を受け、しだいに現代人のように変化していく。そして小人の国から一転、巨人の少女に捕らえられて、ドールハウスに押し込まれるジャック。ドレスとリボンで着飾られたジャック姫がシュールすぎる!

『ガリバー旅行記』_a0021956_802228.jpg


公式サイト

「ガリバー旅行記」 Gulliver’s Travels (10年/アメリカ)
監督=ロブ・レターマン 原作=ジョナサン・スウィフト
出演=ジャック・ブラック エミリー・ブラント ジェイソン・シーゲル アマンダ・ピート
# by pandarin_0728 | 2011-04-16 08:05 | DVD・映画鑑賞記